田植えの季節が終わり、田の草取りが始まる前は畑でいろんなものが芽を出す時期だ。ジャガイモ、トウモロコシ、インゲン、夏大根、春菊、トマト、ナスなど夏に収穫する野菜の芽や苗がとてもかわいらしい。これがあんなに大きく成長するのかと思うほど小さく頼りない。
田植えが始まり他の草取りが終わるまでの時期は、只見のパン屋さんには玄米パンが並び、飛ぶように売れる。重労働をしておなかがすいたとき、玄米パンはちょうどよいおやつだからだ。
わたしが子供の頃には農繁期のおやつには、どの農家も笹巻きを作っていた。チマキ笹のできるだけ大きい葉を取って陰干ししておき、使うときにお湯で戻す。笹を丸めて、もち米を入れて、ふたをして、三角の形にする。隙間ができないように、今度は逆の方向から、もう一度くるんで、ヒロロと言う草を干した紐で型崩れしないようにきつく縛る。そして、大きな鍋でゆでる。きつく縛られた笹の中でゆでられたもち米が膨張する力で半分お餅のような状態になる。笹が殺菌剤の役目をはたして日持ちする。1週間位して、はじのほうが硬くなってきたらもう一度ゆでれば良い。農繁期の忙しいときのレトルト食品のような役割を果たしていた。食べるときには、固く結んだヒロロを解いて、笹をむき、きな粉をつけて食べる。田植えのときなど2つくらいはぺろりと食べてしまう人がざらにいた。
もう、その頃すでに玄米パンも農家の農繁期のおやつとして、登場していたが、忙しい時期にお店まで買いに行くのも、大勢のおやつを現金で買ってくるのも大変なので、笹まきが切れてしまった時、毎日笹まきばかりで飽きた時、手伝いに来てくれた人が持ってきてくれた時に時々食べるものと言う感じだった。
しかし、いつの間にか、笹まきを作れる人が年をとり、笹を採るのも大きな鍋でゆでるのも大変になり、笹まきはめったに食べれないなつかしいおやつになってしまった。農繁期に食べると言うよりは、ゴールデンウィークに都会の孫が遊びに来たときにおばあちゃんが作ってくれる都会には売っていない珍しいおやつと言った食べ物に役割が変わってしまった。
消えつつある笹まきに代わって玄米パンが、農繁期のおやつとしてがんばっている。玄米の粉と小麦粉のふかしパンの中にあんこが入っている。どうせ買って食べるおやつなら、玄米パンでなくても、ふつうのあんぱんでも、カレーパンでも焼きそばパンでも何でもよさそうなものだが、そうはなっていない。一緒に仕事して、休憩時間に同じものを一緒に食べると言うことがまだ重要で、玄米パンなら、まだその役割を果たせるのだろう。農繁期の玄米パンまで消える時代が来たら、一緒に働いて、一緒に休むと言うことさえなくなっていくような気がしてしまう。
---- たもかく ----